利用者アンケート調査結果(2022)

2022年3月吉日

びじっとは利用者さまに協力いただき、利用者アンケートをおこないました。

面会交流は「子どものため」「子どもの権利」と考える父母が多いことは何よりうれしい結果です。「面会交流は子どもの権利」と認識していらっしゃる父母は90%を超えています。

しかし、ご自身が離婚に直面するまで「面会交流ということを知らなかった」方が8割以上いらっしゃいます。

離婚という人生の一大事に直面した時に初めて知るのではなく、その前から当たり前の知識として知っていれば、種々の対応がもっとスムーズに進んだかもしれません。

一般の方々の認知促進は、今後大切な課題になりそうです。

調査方法

  •  実施期間:2022年1月28日~2022年2月13日
  •  実施方法:Webによる無記名アンケート
  •  対象者 :面会交流にびじっとの支援を利用している同居親・別居親282名中131名回答
目次

[1]あなたについて

■父/母・同居親/別居親

母が同居親、父が別居親の割合が大半です。

■末子の年齢

末子が小学生のケースが約半数、未就学児のケースが約40%でした。

■支援年数

「1年未満」と「1~3年」がそれぞれ約3割強で最も多い層となりました。

[2] 面会交流を知ったきっかけについて

[2-1] 別居・離婚検討時に、面会交流について情報収集や相談した先はどこですか?(複数回答可)

「インターネット検索」「弁護士」という回答が多数でした。同居親に比べて別居親は「相手方」の割合が高い傾向でした。

[2-2] 面会交流について初めて認識したのはどのタイミングですか?(必須)

同居親、別居親ともに「別居・離婚を意識したとき」が一番多く半数以上で、特に別居親は67%とやや多い傾向でした。

[2-3] 面会交流支援団体(びじっと以外も含む)の存在を知ったのはどのタイミングですか?(必須)

「弁護士に相談した時」に支援団体の存在を知る人が多いという結果でした。同居親に比べ別居親では「裁判所で説明を受けたとき」がやや多い回答でした。

[2-4] 支援内容を確認し、すぐに使ってみようと思いましたか?(必須)

別居親の24%は「使いたくないと思った」と回答したのに対し、同居親ではわずか3%と顕著な差が見られました。同居親の方が支援の利用に積極的な傾向がありました。

[2-5] 「支援内容を確認し、すぐに使ってみようと思いましたか?」に対して、その理由をお聞かせください

「すぐに使ってみよう」「検討したい」と回答した人は、相手方と連絡を取らないで面会交流できる点と、びじっとの支援内容を理由に挙げる人が半数以上を占めました。

「使いたくない」という回答は別居親に多く、「第3者の介入がない方が良い」という意見が大半でした。自分達で対応できる、親子だけで面会したいという別居親の気持ちがうかがえます。

[2-6] 面会交流実施を最初に提案したのは、ご自身ですか、それとも相手方ですか?(必須)

同居親は「双方協議の上」が、別居親は「ご自身」「相手方」が、比較的多い回答となりました。

[2-7] 面会交流を実施したのはなぜですか?(複数回答可)

同居親、別居親のどちらも「子どものため」が一番多い回答でした。

同居親では「相手からの申し入れのため」が、別居親では「ご自身のため」が次に多い回答でした。

[2-8] 面会交流の意義や子どもの権利であることは知っていますか?(必須)

90%以上の人が知っていました。同居親、別居親の差はほぼありませんでした。

[2-9] 「面会交流の意義や子どもの権利であることは知っていますか?」に対して、「はい」と答えた方はどうやって知りましたか?(任意)

「インターネット検索」「弁護士」に次いで「調停や裁判での説明」が多い回答でした。

[3] びじっとの支援について

[3-1] 支援を受けて良かったことがあるか教えてください(必須)

支援を受けている人の中で93%以上の方が「ある」と回答しました。同居親、別居親の差はありませんでした。

[3-2] 「支援を受けて良かったことがあるか」に対して、「ある」と答えた方は内容をお聞かせください(任意)

代表的なものを紹介します。同趣旨回答の数を同居親、別居親ごとに[同*別*]と記載します(以後、同表記)。

■支援を受けることによって面会交流できた [同2別21]

  • 何より子どもに会えたこと、子どもが大変嬉しそうな笑顔をたくさんみせてくれていること。(別)
  • 時間はかかったが面会交流できた。(別)
  • 子どもと定期的に会うことができています。(別)
  • 何より子どもが元気なところを見られたのは本当にありがたいと感じました。子どものためというのがもちろん第一ですが、それと同じくらいに自分の中に子どもへの愛が生き残っていることを感じられたことに深く感謝しています。(別)

■相手方と連絡を取らないで面会交流でき、連絡調整の面で良かった [同24別11]

  • 相手方と会わず面会交流を行えることが精神的な負担を軽くしていただいています。(同)
  • 父母の対立を子どもに直接見せずに済み、子どものストレスが減った。日程の調整がスムーズになった。(同)
  • 連絡を取りたくない相手と調整出来た。(別)

■子どもの気持ちや安全に配慮した面会交流ができ、安心だった [同26別27]

  • 相手側と子どもが二人きりではないので、安心。(同)
  • 付添型なので、子どもが説明できなくても様子が分かる。障害に理解のある方が支援してくださるので安心。(同)

■葛藤や悩みをLINEや傾聴・相談で聞いてもらえた、寄り添ってもらえた [同8別6]

  • 辛い時に話を聞き、寄り添って大切にしてくださったこと。(同)
  • 子育てのことなど、相談に乗って頂いた。(同)

■その他 [同7別14]

  • 面会交流中に子どもとの写真を撮ってくれたこと。(別)
  • 親や家族以外にも守ってくれる大人がいることを子どもたちも知ることができた。(同)

[3-3] 支援を受けて嫌だったことがあるか教えてください(必須)支援を受けている人の中で、35%前後の方が「ある」と回答しました。同居親、別居親の差はほぼありませんでした。

[3-4] 「支援を受けて嫌だったことがあるか」に対して、「ある」と答えた方は内容をお聞かせください(任意)

代表的なものを紹介します。

  • 折角の子どもたちとの時間なのにいつも隣に支援担当者が話を聞いているのは不満。 [同0別5]
  • 担当の方が変わってしまうのは仕方ないにしても、情報が共有されておらず同じことを説明したりする。そのためにサポートが行き届いてないことがある。 [同4別0]
  • 相手方との連絡調整がスムーズにいかない時。 [同2別2]
  • 金額が高い。 [同1別2]
  • 面会交流自体が嫌。 [同2別0]

[3-5] 支援を利用する際に悩んだ点があれば教えてください(任意)

代表的なものを紹介します。

  • 金額が高い。 [同9別5]
  • そもそも面会交流が本当に子どもたちの為になるのかどうか。 [同6別3]
  • 相手方が支援利用を受け入れるか、協力するか。 [同3別4]
  • 付添い型の支援について、子どもと二人の時間を自由に過ごせない。 [同0別6]

[3-6] 現在の支援内容で、改善すべき点があれば教えてください(任意)

代表的なものを紹介します。

  • 付添い型で、子どもと別居親の2人きりの状況を作らないでほしい。 [同2別0]
  • 子どもたちが支援者を気にしないくらいの距離にいてほしい。 [同0別3]
  • 引き継ぎや情報共有の徹底、最低限の連絡はしてほしい。 [同2別0]
  • 祖父母などの同席について柔軟に対応してもらえるとありがたい。 [同0別3]

[3-7]紛争解決「ADRくりあ」について教えてください(必須)

知らない人は約33%でした。同居親、別居親で差はあまりありませんでした。

[3-8] こんな支援があればよいのに、というご提案があれば教えてください(任意)

代表的なものを紹介します。

■面会場所、宿泊施設 [同2別1]

  • 面会場所の提供。以前あった、びじっと専用の面会交流の家のようなものが今後できれば是非利用したい。(同)

■資料・勉強会・交流会 [同3別1]

  • 子どもたちの年齢にあった面会交流のありかた、進め方についての資料があれば、それを参考にしたい。(同)
  • 同居親や別居親同士の交流会があると良いと思う。(別)
  • 面会交流や相手方と子との関係性形成について勉強する機会があれば、と思う。(同)

■受渡しと、付添いの中間の見守り [同1別1]

  • 受渡しと、付添いの中間の見守りが欲しい。(同)

[4] 実際に面会交流を開始して


[4-1] 面会を開始して、子どもに変化はありましたか(必須)

支援を受けている人の中で、同居親では「ある」が38%に対して、別居親は63%と、別居親の方が子どもに変化があったと考えている割合が高いことがわかりました。

[4-2] 「面会を開始して、子どもに変化はありましたか」に対して、「ある」と答えた方は内容をお聞かせください(任意)

子どもの変化が「ある」と答えた同居親の57%、別居親の77%が「良い変化」と答えました。

変化の内容について、代表的なものを紹介します。

■良い変化 [同12別24]

  • 私以外に頼れる大人がいると思っていること。私と出掛ける時と違う楽しみがあると喜んでいること。(同)
  • 離れているが父親がいることを知ることができた。父親がどんな人なのか、子どもが肌で感じることができた。(同)
  • 毎月会うのを楽しみにしてくれている。愛情を感じてくれている。(別)
  • 最初はぎこちなかったが、徐々に笑顔が見られるようになり、父親であることを再認してくれているように感じた。(別)

■心配な変化 [同5別2]

  • 当日〜翌日に体調をくずす。(同)
  • 第三者立ち会いのため、息子にぎこちなさを感じた。(別)

[4-3] 支援卒業やステップアップ(より軽微な支援型への移行)の予定や見通しはありますか(必須)

約68%の人が支援卒業やステップアップの予定や見通しが「ない」と回答し、支援卒業やステップアップが難しいと考える人が多いことがわかりました。
同居親、別居親で差はありませんでした。

[4-4] 「支援卒業やステップアップ(より軽微な支援型への移行)の予定や見通しはありますか」に対して、「ある」と答えた方は、内容をお聞かせください。「ない」と答えた方は、ステップアップや卒業が難しい理由をお聞かせください。(必須)

「ある」では「子どもの成長に合わせて軽い支援に変える」が一番多い内容でした。
「ない」では、同居親は「相手方とやり取りしたくない」「別居親に問題があるのでできない」、別居親は「同居親が同意しない」が多い理由でした。

[4-5] 面会を通じて感じたことがあれば、自由にお書きください(任意)

代表的なものを紹介します。

■びじっとの支援に対する感謝の言葉 [同11別15]

  • 常に中立な立場を保たれている姿勢を感じます。素晴らしいと思います。(同)
  • 子どもの気持ちをフォローしてくれてありがたいと思います。(同)
  • いつも子どもたちと会えるように支援をして頂いているので、満足しています。(別)
  • コロナ禍にも関わらず新規受付を開始して下さり、また母親との連絡も密に取って頂き、娘との時間を月1回3時間ながら少しずつ取り戻して来ています。(別)

■面会交流ができる喜びの声 [同7別7]

  • 子どもは、面会前はかなり行き渋るが、面会後は楽しかったというので、このまま細く長く続けていければと願っている。(同)
  • 争っていたので面会させたくない気持ちでいたが、子どもにとって父親と会うことで可愛がってくれる大人がいる存在は大きいと思った。(同)
  • 面会終了時の別れの時は、親子共にとても辛い気持ちになりますが、毎月、定期的に面会出来ることで、子どもと別居親は、また必ず会えると希望が持て、心が安定します。(別)

■面会交流を実施することへの不満の声 [同6別0]

  • ひたすら同居親は苦痛。子どもはプレゼントをもらいすぎておもちゃを雑に扱うし管理しきれず困る。(同)
  • 子供のためというより別居親の為だと思う。体調をくずしてしまうにも関わらず、次の予定をすぐに考え、やりとりしなければいけない環境は子供の意思を蔑ろにしている。(同)

■支援がないと面会できないことへの不満の声 [同0別5]

  • 親子なのに自由に会えないもどかしさを感じています。(別)
  • 同居親の権利が強い面会条件のため、支援がないと面会できない。(別)

■その他 [同7別13]

  • 面会交流を続けることで、子どもは別居親の方がよく見えるという現象が起こっており複雑な気持ちになることはあります。(同)
  • 子どもにとっては自分の親がどんな人かを知り生きていけるので良かったと思う。でも、子どもはやりたいことを犠牲にして面会交流の時間を捻出していて、父親に気を使い会った所で、子どもにとってプラスがあるんでしょうか?とも感じています。(同)
  • 月日が立つほど、相手方との意見の相違が明らかになり、育児方針も違うため、面会時に子どもが当惑するのではないかと思っている。権利とは言っても、子どもが当惑するようなことを続けるべきなのかどうかと思う。(別)
  • 自分がこうゆう状態になるまで、このような支援制度があることも全く知りませんでした。なので、もう少し一般認知度をあげる運動(広告等)をなさったらいいのかなと、勝手に思います。(別)
  • 子どもの成長の速さを目の当たりにすることができました。(別)