親子交流支援団体アンケート結果 ご報告
2024年11月14日
一般社団法人びじっと・離婚と子ども問題支援センターは、全国の親子交流支援団体を対象に、課題や必要なサポートを明らかにするため、WEBアンケート調査を実施しました。このたび、調査結果がまとまりましたので、ご報告いたします。
【調査から浮き彫りになった課題】
- 支援団体運営の現状
多くの支援団体は小規模で運営されており、約半数の団体は、代表者ともう1名で管理運営しています。支援スタッフも10人以下が大半を占めており、人的リソースが限られている状況です。 - 支援形態の多様性
大多数の団体が親子の組別個別支援を行う一方で、少数ながら集合型支援を取り入れている団体もあり、支援形態に多様性が見られます。 - 人材と財政の課題
多くの団体は、利用者の多様な背景や父母間の対立に対処するための人材確保に苦慮しています。また、財政的な厳しさも運営に大きな影響を与えています。人材育成と財政支援の不足が、支援の持続可能性に深刻な課題をもたらしています。 - 利用料金補助の重要性
最も強く求められているのは「利用者への利用料金補助」です。料金負担が理由で支援を受けられない親子、という課題を深刻に感じている現状が明らかになりました。また、小規模団体では行政からの業務受託が難しいという現実と、利用者の多様性に対応できる支援の多様性が求められている現実を示唆しています。 - 持続可能性への懸念
自由記述では、善意に頼った運営や人材不足が将来的な持続可能性に悪影響を与えるという声が多くありました。また、支援空白地域への対策必要性も指摘されています。
全体を通じて、支援活動への需要は高まっているものの、人的・財政的な支援不足が深刻な課題として浮き彫りになりました。
本調査結果は既にこども家庭庁へ報告し、親子交流支援団体の現状を理解いただきました。
支援団体アンケート結果
調査方法:オンライン記名アンケート
調査期間:
第一回:2024年7月24日~2024年8月25日 (組織状況・困っていること)
第二回:2024年9月11日~2024年9月17日 (支援の特色)
※第二回は、第一回を受けての追加アンケートです
調査対象:法務省HPおよび面会交流.com等に掲載されている親子交流支援69団体中、メールアドレス・問い合わせフォーム等が公開されている53団体
回答数 :第1回 34団体 第2回 22団体
目次
- . 親子交流支援団体アンケート結果 ご報告
- 1. 支援団体アンケート結果
- 1.1. 【組織状況】
- 1.1.1. 1-1.物理的な事務所(個人宅以外) *
- 1.1.2. 1-2.事務局人数(業務実働している理事含む) *
- 1.1.3. 1-3.支援スタッフ人数 *
- 1.1.4. 1-4.親子交流支援開始からの実施年数 *
- 1.1.5. 1-5.現在支援している親子の組数(親+子で1組と数えてください) *
- 1.1.6. 1-6.年間の親子交流支援件数 *
- 1.2. 【支援の特色】
- 1.2.1. 2-1 貴団体の付添い(見守り)型支援形態についておしえてください
- 1.2.2. 2-2 貴団体の付添い(見守り)型支援場所について教えてください
- 1.2.3. 2-3 貴団体のスタッフの資格要件について教えてください
- 1.2.4. 2-4 以下のうち、貴団体スタッフが有する資格や経験があれば、チェックをお願いします
- 1.2.5. 2-5 人手不足の理由で、利用申請をお断りすることはありますか
- 1.2.6. 2-6 貴団体はACCSJ(一社面会交流支援全国協会)の認証を取得していますか
- 1.2.7. 2-7 ボランティアスタッフ(理事等の経営者及び被雇用者以外)に費用や謝礼を支払っていますか
- 1.2.8. 2-8 貴団体は、親子の支援卒業やステップアップ(軽い支援へ移行)を促進していますか
- 1.3. 【困りごと】
- 1.3.1. 3-1 支援現場に関する以下の項目について、困っているか否か、おしえてください *
- 1.3.2. 3-2 運営管理に関する以下の項目について、困っている(煩雑で省力化したい場合を含む)か否か、教えてください *
- 1.3.3. 3-3 以下のうち、貴団体が実行している項目があれば、チェックをお願いします
- 1.3.4. 3-4 以下のうち、今後この面でサポートがあれば助かる、という項目があれば、チェックをお願いします
【組織状況】
1-1.物理的な事務所(個人宅以外) *
1-2.事務局人数(業務実働している理事含む) *
1-3.支援スタッフ人数 *
1-4.親子交流支援開始からの実施年数 *
1-5.現在支援している親子の組数(親+子で1組と数えてください) *
1-6.年間の親子交流支援件数 *
【支援の特色】
2-1 貴団体の付添い(見守り)型支援形態についておしえてください
2-2 貴団体の付添い(見守り)型支援場所について教えてください
2-3 貴団体のスタッフの資格要件について教えてください
2-4 以下のうち、貴団体スタッフが有する資格や経験があれば、チェックをお願いします
2-5 人手不足の理由で、利用申請をお断りすることはありますか
2-6 貴団体はACCSJ(一社面会交流支援全国協会)の認証を取得していますか
2-7 ボランティアスタッフ(理事等の経営者及び被雇用者以外)に費用や謝礼を支払っていますか
2-8 貴団体は、親子の支援卒業やステップアップ(軽い支援へ移行)を促進していますか
【困りごと】
3-1 支援現場に関する以下の項目について、困っているか否か、おしえてください *
3-2 運営管理に関する以下の項目について、困っている(煩雑で省力化したい場合を含む)か否か、教えてください *
3-3 以下のうち、貴団体が実行している項目があれば、チェックをお願いします
3-4 以下のうち、今後この面でサポートがあれば助かる、という項目があれば、チェックをお願いします
【困っていること、改善を求めたいこと】(自由記述から抜粋)
人材
- 代表理事が一人で多くの事務業務を担っている (3)
- 理事含め全スタッフが仕事を別に持ちながらの支援で、常勤職員がいない (2)
- スタッフの善意に頼った運営なので、後継者は作れない (2)
- 人手不足だが、誰でも良いわけではなく適正資質を持った人材が必要
- 専門職で支援してきたが、支援者不足のため専門職限定を外すか検討中
- 利用料金抑制のためスタッフ謝礼が一日500円だが、人手不足なので謝礼増額を検討中
組織運営
- 組織の仕組みづくりが難しい
- 契約、規定、ルール面の整備が課題 (2)
- 支援団体間でのノウハウ共有がしたい (2)
利用料金
- 利用者に利用料補助があれば、必要な人に支援が届き、適切な組織運営が可能になる (6)
- 利用者のことを考えると利用料金を上げられない (3)
- 利用料金が高いと言われるが、運営継続を考えると下げられない
- 人件費や事務所費に利用できる助成金など、財政基盤観点でのサポートが欲しい (6)
- 代表理事が別の仕事で働いて、そのお金をつぎ込んで団体を維持している
社会・法律・行政
- 面会交流(親子交流)という言葉さえ知らない国民が多く、周知が必要 (2)
- 裁判所で決めた交流条件があいまいなことが多く、支援団体の負荷が大きい (2)
- 面会交流支援は児童福祉の一環であるにも関わらず制度が整っていない (3)
- 責任省庁がどこで、どんな支援をしてどう経営を維持するか、ガイドラインが必要
- 支援団体空白地域への対策が必要だと思う (3)
- 面会交流支援の重要性や課題が国や自治体に届いて、対策につながることを望む (4)
- 家庭裁判所、地方行政との連携、それらを後押しできる国からのサポートが大事
【工夫していること】(自由記述から抜粋)
リスク管理
- ルール違反者には改善を求めるが、改善できない場合は契約終了するルールがある (6)
- 支援がスタッフの負荷にならないように、2名体制、役職者立ち合い、など工夫している (4)
- 事前面談時に利用者とスタッフが利用ルールを読み合わせている (2)
- トラブル発生時の手順を作った(記録する、スーパーバイザー対応、再発防止) (3)
- 傷害保険に加入 (2)
- 1年ごとの利用契約更新では、毎年の講座受講を更新条件としている
- 支援場所は専用のキッズルーム、または指定の公園に限定
情報管理
- 支援予定や支援内容を記録し、情報共有している (3)
- ケースごとにファイルを作成し,相談室事務所内で一括管理
- 個別スタッフへの開示情報は最小限にする
- 住所開示なくとも契約できる(住所秘匿対応)
組織業務
- 団体キャパシティを考慮して、引き受ける案件を選別中
- ITを活用して事務処理を効率化している
- 現金による入出金はおこなわない
- 寄付金控除が受けられる寄付団体に所属し、年に50万円の寄付を得ている
- 自治体、弁護士、管轄の警察署とコミュニケーションをとっている
スタッフ教育
- 定期的なスーパーバイザー会議、事例検討会 (2)
- スタッフは9か月かけて研修で育成する
- スタッフの心のケアを大切にしている
- 支援者はひとり親支援やDV支援の専門職限定であり、特段の研修は不要
卒業促進
- 定期面談(契約更新時等)、随時面談、支援状況からの判断でステップアップを促す (3)
- 毎年のプログラム受講+更新面談で、卒業目標含め当事者と対話する
- 親との会話、日程調整のやりとりから個別に卒業を案内している
- 中学生ぐらいで子と別居親が直接面会日の連絡ができるよう促していく(同居親と別居親が連絡を取り合うのは困難)
- ADRで合意形成する
- 面会交流アプリの使用を促している