2020年6月26日

新型コロナが面会交流に及ぼす影響
アンケート調査結果(最終版)

新型コロナウイルス感染リスクの中で、

面会交流をおこなう父母は何を感じているのか

一般社団法人 びじっと
・離婚と子ども問題支援センター

東京・神奈川を中心に面会交流支援事業を行う、一般社団法人びじっと・離婚と子ども問題支援センター(所在地:神奈川県横浜市、代表理事:古市理奈/以下びじっと)は、面会交流支援を利用している父母を対象に、新型コロナウィルス感染リスク下における面会交流アンケートを実施しました。  利用者コメントはこちらのページをご覧ください。

①調査方法

実施期間:2020年6月6日~2020年6月14日
実施方法:Webによる無記名アンケート
対象者 :面会交流にびじっとの支援を利用している同居親・別居親174名中98名回答

②アンケート結果

1.新型コロナ感染症が流行し始めてからこれまで(2020年3~5月)の面会交流について教えてください。

※びじっとは2020年3月~5月の間、「付添い型」「受け渡し型」支援を中止しました。

【1.1この期間、あなたは面会交流をしましたか】

※もともと面会交流予定がなかった親子を除く



【1.2この期間の、びじっとの「受渡し型」「付添い型」支援中止 をどう思いましたか?】

2.今後、感染の第2波、第3波が発生し、再度「受渡し型」「付添い型」が支援停止となった場合

【2.1あなたは、オンライン面会交流を検討しますか】
【2.2あてはまる理由を教えてください(複数回答)】

3.今後(2020年6月以後)の面会交流について教えてください。

※びじっとは2020年6月1日より、「付添い型」「受け渡し型」支援を再開しました。

【3.1あなたは6月以後の面会交流実施をどうお考えですか】
【3.2 6月以後の面会交流に関し、不安なことはありますか】

③利用者コメント

利用者から寄せられたコメントの中から、代表的・特徴的なものを抜粋して紹介します。こちらのページをご覧ください。

◆新型コロナの感染が拡大していた2020年3~5月の間、直接会って面会交流できたのは全体のうちのわずか6%でした。16%の親子がこの期間もオンラインを活用して面会交流しましたが、残る78%の親子は会うことができませんでした。
◆この感染拡大期おいて、びじっとは感染防止のために「受渡し型」「付添い型」の支援を中止しました。この判断は同居親・別居親双方の大多数から理解を得ています。
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◆感染の第2波、第3波を想定した場合、同居親と別居親では回答傾向が大きく異なりました。別居親の39%が「直接面会交流する」と考えたのに対し、同居親でそう考えた人はわずか12%でした。同居親の過半数は「面会交流を中断する」と考えています。
◆現実に6月以後の面会交流に関する不安でも、同居親と別居親の差が顕著にみられます。同居親の74%が「感染に不安」を感じているのに比べ、別居親で感染に不安を感じているのは24%と同居親の1/3でした。一方、別居親の54%は「今後の面会交流に不安」を感じており、これは同居親の43%を上回っています。利用者コメントをみると、同居親からは「交通機関や面会交流中の感染が心配」、別居親からは「このままずっと会えなくなるのではないか」という不安の声が多く聞かれました。
◆以上のことから、同居親と別居親は置かれた状況の違いから異なった不安を抱えており、それが面会交流に対する判断の違いにつながっていると推察されます。子どもの健全な養育のために、こうした違いを乗り越えようとする親への支援が、今後ますます求められてくると思われます。
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◆感染防止の観点から期待されているオンライン面会交流については、同居親の31%、別居親の45%が「利用を検討する」と考えており、約1/3の親子からニーズが見込まれます。すでにオンラインを使った利用者からは、オンライン面会交流に対して肯定的な意見が多く聞かれています。このことから、オンライン面会交流の体制確保は急務であると考えられます。

びじっとオンライン面会交流のためのクラウドファンディングは
こちら

◆しかし一方で、同居親の57%はオンラインを検討しないで面会交流を中断すると考えています。オンラインを利用しない理由として「オンライン経験・設備・費用の問題」「子どもが小さいので難しい」という点が挙げられますが、最も大きい理由とみられるのが、オンライン面会交流は自宅で行うため「自分や同居の家族に影響があり抵抗を感じる」という点です。同居親・別居親間の葛藤が強い場合や、それぞれの家庭環境によっては、オンライン面会交流の利用も困難である現状がうかがえます。
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◆今回のアンケート結果を踏まえ、びじっとは今後、感染防止に寄与するオンライン面会交流の支援体制を強化するとともに、「置かれている環境の違い」から発生する不安の違いを埋めていく支援も検討したいと考えています。相手の置かれた立場を思いやり、声をあげられない子どもの気持ちに寄り添うことを常に忘れず、今後の支援活動を進めてまいります。

<本アンケート調査に関するお問い合わせ>
一般社団法人 びじっと・離婚と子ども問題支援センター
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